「あなた」と「きみ」をめぐる、5つの“てのひら”の小説たち(パームストーリーズ)
ちいさなハードカバーの単行本でお届けする掌篇アンソロジー
あなたが私に寄越してくれたさまざまな物が、もしその時に手に入らなかったとしたらと考えると、ちょっと恐ろしいなという気がしてくる。
-津村記久子「六階を見習って」
なんであれば出来事とも呼べないかもしれないくらいのもの、きわめてうっすらとした出来事のようなものからでさえ、忘れがたい印象をふいに得る、ということはきみにももちろん時々起こる。
-岡田利規「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」
此の度は機会を与えてくれてありがとう。本当に感謝している。(…)そんな僕がつい、本当に、と書いてしまったのはマジで貴殿に感謝しているからだ。
-町田康「言ひ譯」
あなたは引っ越してきたばかりの街を一人で歩いている。真っ直ぐな道の果てに寺院と思しき白い塀が見える。
-又吉直樹「行列」
茂呂来さん、茂呂来さん、聞こえますか。(…)きっとそちらはいま、おくつろぎタイムですよね。
-大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
刊行日 2023年8月30日
定価 1800円+税
ISBN 978-4-910976-01-3
A6変形判・上製本 152ページ